ミリオンダラー・ベイビー
2005/05/31 火曜日 - 23:27:35 by ゆっきーミリオンダラー・ベイビーをTOHOシネマズで鑑賞。
アメリカで公開前から宗教関係者からのクレームが出ているという話は伝わってきていたものの詳細はわざと調べないでいたので、予告編で病院のシーンが出てくるのを目にするまでてっきりレズビアンか何かのセクシャルな方で揉めているのかと思っていました。
ただ、病院のシーンから考えて嫌な予測が生じましたが頭はからっぽにして劇場にて鑑賞しました。
感想としては、ラストに関しては疑問を持つものの、映画としては成立してますし、主人公の女性ボクサー役のヒラリー・スワンクは頑張ったなぁと思えます。体のコントロールや細かい表情の変化がなかなか良い女優さんです。
脚本としては台詞の使い方が丁寧で前に出した台詞をきちんと回収し、語りをモーガン・フリーマンがしている意味もラストで分かります。個人的にはラストの場所は予想の範囲でしたが台詞の利用法的には彼女のプレゼントになっていてもおかしくないかなとも思えた場所です。
単に悲劇としては描いていないので初日に劇場で観た限りではあまり泣いている人はいないように思えました。結論に賛同色々あるでしょうが、親族や我が身のこととして一度考えてみることは悪くないことだと思います。アカデミーショーをよくこれが受賞したなと驚きも持ちますが、メッセージ性の強いものが受賞することが最近あるからなと思いました。
<以下ネタばれ>
念願のタイトル戦で汚い手を使うチャンピオンにラウンドの間に後ろから襲われ、頚骨を骨折し首から下が全身麻痺になる主人公。貧乏から夢をもって指導者を見つけ、その言葉を全部信じて掴んだ栄光。この栄光は自分は人には経験できない凄い人生をおくれたという想いと、その栄光の大きさが動かない体を、心を、そして残りの人生を押しつぶす。
一方、トレーナーは過去にもタイトル戦で選手を止めれなかったばかりに失明させてしまった負い目で心を痛め、ずっと教会に通っていた。なのに繰り返される悲劇。セイバーなんだという評価は正しいのにその救う方法が、求められる方法が許されないものである、安楽死。
通常、尊厳死は苦痛を感じる末期患者に患者の望みにより、それ以上の延命治療をしないことをいうので、安楽死と書きました。
私個人としては以前から尊厳死は認めるが安楽死は認めない立場に立つので、結論は納得いきませんが、そこに持っていくために構成上積み重ねはしていることは理解できます。
いずれにしても、自己決定権をどこまで認めるか、高度医療の発達により問題は社会全体でコンセンサスを出すべき段階に達しているのでテーマ選択は良かったと思います。